H,100 W,100 D,2(mm)

素材:シルバー
「円」

「円」には角がなく、なめらかで途切れが無い。
それは心地よくて安心する形だと思う。

「円」は、私に満足のいく状況をイメージさせる。
満足のいく状況とは、例えば幸せを感じるような状況のことだ。しかし現実には満足のいく状況なんて早々ない。だから、欠けた円があり、歪んだ円がある。そこには、絶望や落胆があるかもしれないが、その状況から脱して満足へ向けて進む意志があるようにも思う。

これらの「円」や円に近い形を人が身につけられる装身具として作る。

装身具として作るのには理由がある。
私にとって「円」や円に近い形が表す満足や不満足を身につける人は、
それぞれに思いがあるように見えておもしろいからだ。

例えば、
満足しているから、
満足が目標だから、
満足であることを知らせたいから「円」を身につけるとか、
不満足だから、
不満足を楽しんでいるから、
不満足であることに気付いてほしいから歪んだ円を身につけるとか、様々に考えられる。

そして身につける「円」が私にとって満足のいく状況のイメージだと知った時、その他の円がどのような状況なのだろうかと身につける人が自分の経験と重ね合わせて想像することができる。身につける人がそれぞれに異なった想像をした時を、私は一番おもしろいと感じ、そのおもしろさの素になる円の装身具を作りたいと思う。

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奈良彰子